更新日:15年07月30日

「消費税は魔性の税金」 上



188075元静岡大学教授で税理士の湖東京至さんが7月22日、都内で講演した。宇都宮健児弁護士らが代表を務める「公正な税制を求める市民連絡会」が主催した学習会。湖東さんは「消費税は恐るべき魔性の税金だ」と指摘した上で、「消挫税は預かり金ではない」、「社会保障財源というのはうそ」などと述べ、政府によるごまかしを厳しく批判した。要旨を紹介する。

 

「預り金」はうそ

政府は消幾税について、いかにも消費者が負担する税のように説明し、事業者にとっては「預かり金」のように描いている。だが、これは間違いだ。

消費税法には、消費者は全く登場してこず、部外者扱いである。あくまで事業者が納める税金なのであって、消費者は関係ない。消費者は物価として負担しているだけで、税金として払ったことにはなっていない。事業者に「預け」たわけではないのだ。

事業者は消費税法で定められた計算式で税金を納める。8%分を転嫁することは義務付けられていないから、販売価格や対価をいくらにするかは事業者の判断次第である。

 

滞納が大量に発生

実際、バス代や郵便料金だって、きっちり8%を転嫁した値段にはなっていない。1990年3月に出された東京地裁判決(確定)は、事業者は消費者との関係で消費税分を過不足なく国庫に収める義務はないと判断した。預かり金ではないと認めたのだ。

政府の公式見解は「預かり金的性格を持つ」というもの。預かり金だとは言い切っていない。断言してしまうとまずいということをよく知っているのだ。

事業者は赤字であっても、また預かっていなくても消費税を納めなくてはならない。だから、滞納がすごく発生している。川%に引き上げられたら、滞納はさらに増えるだろう。

 

(メモ)

滞納額の半分は消費税

国税の年間滞納額は約5500億円(2013年度)。そのうち、消費税が占める割合は約2800億円で、51%である。法人税は約690億円であり、国税の中では消費税の滞納額がダントツの一位だ。

とはいえ、ここ数年を見ると、滞納額は減少傾向にある。湖東さんは「国税庁が必死で集めているため。厳しい取り立てが背景にる。それでも滞納額が最も多いという点に注目してほしい」と話している。

2013年度はまだ消費税率が5%のときの数値。14年度からは8%になっており、現在はもっと深刻だろう。「8%への大増税で多くの中小企業では滞納が激増し、倒産、廃業、そして失業者増大になる可能性が大きい」(湖東さん)という。

 

(連合通信 2015年7月25日)

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