更新日:25年08月06日

平和への願い



PN:かんかん(37歳) 北九州市小倉南区  

平和への願い

 

 今年で37歳になりました。自分の人生を振り返ると同時に、子どもたちの未来を思う年齢でもあります。8月のあの蒸し暑い日に、広島や長崎の空に現れた「一つの光」。それがどれほど多くの命と希望を一瞬で奪い去ったのか――母となった今、その重さに涙がこぼれます。

 原爆投下という出来事を、私は教科書で知りました。でも、本当の意味で「感じる」ことができたのは、大人になってから。ある夏の日に子どもと一緒に訪れた平和公園。無数の折り鶴と、静かに立ち尽くす原爆ドーム。その前で息子がつぶやいた「なんでこんなことが起きたの?」という一言に、胸が締めつけられました。戦争は、遠い過去のものではなく、今に続く私たち一人ひとりの記憶であり、責任なのだと痛感した瞬間です。

 被爆者の方の証言に耳を傾けるたび、想像を絶する苦しみ、そしてそれを超えてなお「語り続ける」勇気に、心を打たれます。焼け野原の中で家族を探す母親、白い肌に黒い斑点が浮かぶ幼子、それでも明日を信じて生きた人たち。その姿を思うとき、私の心は静かに涙を流します。

 「二度と繰り返してはいけない」――そう語る声は、叫びではなく、祈りのように静かで、しかし決して揺らぐことのない強さを持っています。その声を、私は受け継ぎたい。日々の中で、誰かの痛みに気づくこと。違いを恐れず、手を差し伸べること。小さくとも、私たちにできる平和の行動は、きっとあるはずです。

 過去の痛みを知ることは、未来を守る第一歩です。子どもたちの笑顔が、「空を見上げても、恐れることのない日々」に続いていくように。私は、母として、一人の人間として、平和のバトンをつなげていきたいと強く願っています。

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