福岡県歯科保険医協会市民公開講演会 5月30日・福岡市 「こうして貧困は作られる~取材の現場から」
「こうして貧困は作られる~取材の現場から」
毎日新聞の東海林 智氏記者が講演
東海林記者は、社会部、サンデー毎日編集部、横浜支局デスクなどを経て厚生労働省担当の社会部記者。2014年は非正規雇用が2,000万人を突破、13年から100万人も増えている。15年前と比べると非正規は733万人増え、正規が500万人減少している統計数字をもとに派遣労働の過酷な現状を告発しました。
シングルマザーで自らスキルアップをしながら正社員を希望して15年働いている女性は、子どもの病気でも休むこともできない、ステップアップもかなわない過酷な条件で必死に働いているが、これから先は派遣の仕事さえなくなるのでは、50歳を超えた今、むなしさと大きな不安を隠すことができないという。また、派遣先の職場で足を捻挫したことから解雇され、寮からも追い出された若い女性が、必死に再起をはかるも力尽きてネットカフェ難民になるまでの経過をつぶさに報告、労働力を商品とする政財界の狙いを現場の取材から告発しました。
今国会では、派遣労働を拡大する労働者派遣法の改悪案が審議されています。政府は「正社員に道を開く」と強弁していますが、法案が成立すれば、長期に派遣で働いている労働者40万人近くが失業する事態になると言います。また、残業代ゼロを狙い際限のない長時間労働に追い込むホワイトカラーエグゼプション法案の成立も狙われています。
新聞労連委員長であった東海林記者は、労働組合がなければ人間らしく働けない、正規、非正規の分断を乗り越え仲間をふやし、非正規と共に奪われたものを奪い返そう、声をあげる限り私たちは無力でない、共に声をあげようと結びました。
(轍)