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更新日:15年08月06日

戦争終結70年を向えて



石村善治

 私は、1945年8月15日、福岡市の郵便局前に置かれたラジオで終戦の天皇放送を聞きました。当時旧制高校2年生18歳の私は、「これで生きられる」と思いました。18歳でこの戦争で死ぬと思っていた私にとっては、喜びと同時に「明日から何をするか」という戸惑いさえありました。相次ぐ占領軍の「解放政策」は、まさに「解放軍」の思いでした。しかし、1947年2月1日、「2.1スト」に対するマッカーサーの「中止命令」はそれまでの民主主義「革命」の「夢」をさまさせるに十分な衝撃でした。その後に次ぐ「レッドパージ」、「朝鮮戦争」、「ベトナム戦争」、そして世界に一息つかせた「ベルリンの壁」の崩壊は、またたく間に「湾岸戦争」から今に続く世界の戦争への連続でした。

日本は、いまや世界の戦争に本格的に参加しようとしています。しかも、日本国憲法の掲げる「全世界の国民の平和的生存権」(前文)の誓約を踏みにじり、「戦争の放棄」、「戦力の不保持」、「交戦権の否認」(憲法9条)を抹殺しようとしています。「日米防衛協力のためのガイドライン」(2015.4.27)の「合意」を11の「戦争法案」として一括して承認させようとしているのが、今の国会の状況です。

学者集団も「ガイドライン」先導のこの事態に、かってない程の深刻な危惧を表明しています。「立憲デモクラシーの会」の「安保法制関連諸法案の撤回を求める声明」(2015.6.24)は次のように「告発」しています。

「本法案は、内容的にも本年4月合意の日米ガイドラインに沿ったものであり、国会審議でのホルムズ海峡での機雷掃海などが強調されている背景に、米国の対日要求があると考えられる。条約ですらないものを、いわば憲法の上位に置き、それに合わせて実質的な改憲にも等しい立法化を進めることは許されない。また、このような対米追随ともとれる姿勢は集団的自衛権に関して日本が自主的に判断できるとの政府の主張の信ぴょう性を疑わせる」と。

この「声明」は、日本の現況をはっきりと「対米追随的姿勢」と難じています。いまやこのような反撃・憤激が日本国内に巻き起こり、戦争への道、立憲主義国家否定への道を止めなければならないと思います。そのための格段の強さと広がりをもったわれわれの意見表明・行動を戦争終結70年に当って訴えたいと思います。(2015・7・31)

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